DELMIA Apriso(デルミア アプリソ)は、ダッソー・システムズが提供する MES(製造実行システム)です。作業指示の展開、実績の収集、品質検査、在庫と倉庫、設備保全までを一つの基盤で扱い、複数の工場に同じ仕組みを横展開しやすいことが最大の特徴です。サオスは 2021年にダッソー・システムズとパートナー契約を結び、構想づくりから構築、稼働後の保守までを支援しています。
DELMIA Apriso とは何か
MES は、生産計画と現場の作業のあいだを埋めるシステムです。いつ何をどれだけ作るかを決めるのが ERP、何を作るかを定義するのが PLM だとすると、MES が引き受けるのは「実際にどう作られたか」です。どの作業者がどの設備で、どのロットの材料を使い、どんな検査結果だったのか。それを作業の進行とともに記録し、同時に次の作業指示を現場へ返します。
Apriso はその MES のなかでも、複数拠点への展開を前提に設計されている点が他と違います。標準の業務プロセスをテンプレートとして持ち、拠点ごとの差分だけを上書きしていく形を取れるため、一拠点で作った仕組みを二拠点目、三拠点目へ持っていくときの作り直しが少なくて済みます。海外拠点を含む多工場展開を視野に入れている企業から選ばれることが多いのは、この構造によるところが大きいです。
ダッソー・システムズの製品なので、3DEXPERIENCE プラットフォーム上の設計・製造準備のデータとつなげやすいことも利点です。設計変更が現場の作業手順にどう影響するかを、別々の仕組みを行き来せずに追えます。
ERP・PLM との役割の違い
| システム | 受け持つ問い | 扱う時間軸 | 代表的な機能 |
|---|---|---|---|
| ERP | いつ、何を、どれだけ作るか | 計画(日・週・月) | 受注、生産計画、購買、原価、会計 |
| PLM | 何を作るか | 設計・製造準備 | 部品表、図面、設計変更、工程設計 |
| MES(Apriso) | どう作られたか | 実行(秒・分・時間) | 作業指示、実績収集、品質、在庫、設備、トレーサビリティ |
この三つは競合するものではなく、つなげて使うものです。ERP の計画を MES が作業指示に落とし、MES が集めた実績を ERP へ返す。PLM の設計情報を MES が現場の手順書として展開する。導入の検討では、どこまでを MES で持ち、どこからを ERP に任せるかの線引きが最初の論点になります。
Apriso で扱える業務
生産(Production)
工順にそって作業指示を現場の端末に出し、着手と完了、数量、作業者、使用した設備とロットを記録します。手順を逸脱した操作はその場で止められるので、後工程で不具合が見つかってから遡るのではなく、作りこみの段階で防げます。
品質(Quality)
検査項目と判定基準を工程に紐づけて持たせ、結果を作業実績と同じ流れで残します。不適合が出たときの隔離、再検査、是正処置までを記録に残せるため、監査対応の資料づくりが後追いの作業になりません。
倉庫・在庫(Warehouse)
材料の受入から工程への払い出し、仕掛品の移動、完成品の出荷までをロット単位で追えます。棚卸の差異がどこで生まれたかを、作業の記録から辿れるようになります。
設備保全(Maintenance)
設備ごとの稼働時間や停止理由を蓄積し、予防保全の計画と実績を管理します。停止の記録が生産実績と同じ基盤にあるので、どの停止がどれだけ生産に響いたかを別々に集計せずに見られます。
労務・スキル(Time & Labor)
作業者ごとの資格やスキルを登録し、その工程を担当できる人かどうかを作業開始時に判定します。教育記録と現場の運用がつながるので、力量管理が形だけの台帳になりません。
導入を検討するときによくある質問
DELMIA Apriso とは何ですか。
ダッソー・システムズが提供する MES(製造実行システム)です。作業指示の展開、実績収集、品質検査、在庫・倉庫、設備保全、作業者のスキル管理までを一つの基盤で扱います。複数の工場に同じ仕組みを展開しやすい構造を持っていることが、他のMESとの大きな違いです。
他のMES製品と比べて、Apriso はどこが違いますか。
標準プロセスをテンプレートとして持ち、拠点ごとの違いを差分として重ねていける点です。一拠点向けに作り込んだ仕組みを他拠点へ持っていくときに作り直しが少なくて済むため、多工場・多国展開を前提にしている企業で採用されることが多くなります。反対に、単一工場で完結し今後も広げる予定がない場合は、この強みが効きにくい面もあります。
MES と ERP の違いは何ですか。
ERP は「いつ何をどれだけ作るか」という計画を扱い、MES は「実際にどう作られたか」という実行を扱います。時間の粒度も違い、ERP が日や週の単位で動くのに対して、MES は秒や分の単位で現場の動きを追います。両者は競合せず、ERP の計画を MES が作業指示に落とし、MES の実績を ERP に返す形でつなぎます。
導入にはどのくらいの期間がかかりますか。
対象の工程数、拠点数、既存システムとの連携本数で大きく変わります。単一工場で工程を絞れば短く、多拠点へ標準を展開する構想から始めれば長くなります。期間を左右するのは製品の設定作業そのものよりも、現場の業務をどこまで標準化するかの合意形成であることがほとんどです。
費用はどのくらいですか。
ライセンス費用と構築費用に分かれ、どちらも対象範囲によって変わります。見積りの前に、どの工程を対象にするか、既存のERPや設備とどこまでつなぐかを整理しておくと、比較できる形の金額が出しやすくなります。サオスでは範囲の整理からご相談を承っています。
既存の ERP や設備とつながりますか。
SAP をはじめとする主要な ERP との連携実績があり、設備側とは PLC やデータ収集基盤を介してつなぎます。ただし「つながるか」より「どの単位でどのタイミングで渡すか」の設計のほうが重要で、ここを詰めずに進めると稼働後にデータの不整合が出ます。
稼働したあとの保守は誰が行いますか。
自社で担当する、導入ベンダーに任せる、両方を組み合わせる、のいずれかです。サオスは運用・保守サービスとして、障害対応、改修、バージョンアップ、現場からの問い合わせ対応を引き受けています。あわせて、社内で扱える人を育てる教育サービスもご用意しています。
自社の技術者だけで運用できますか。
できます。ただし設定の考え方と、業務をどうシステムに写したかの背景を理解している人が社内に必要です。サオスでは実機を使った研修を通じて、外部に頼りきりにならない体制づくりを支援しています。
MES を SaaS で使えるのか
「MES を SaaS で」と探される方の動機は、たいてい同じです。サーバーの調達と保守を自社で抱えたくない。まずここをはっきりさせておきます。
DELMIA Apriso は、グループウェアやCRMのように「契約したその日からブラウザで使える」マルチテナント型のSaaSとは形が違います。自社専用の環境を用意し、そこに Apriso を構築して使う製品です。ただし、その環境をどこに置くかは選べます。
- 自社のデータセンターやサーバー室に置く(オンプレミス)
- クラウド上に自社専用の環境を用意して置く
現場の端末からブラウザで使う、という使い勝手はどちらでも変わりません。違いが出るのは、サーバーの調達、OSやデータベースの保守、バックアップ、災害対策を誰が持つか、という運用の分担のほうです。
「クラウドにすれば運用がゼロになる」わけではありません
ここは最初に共有させてください。置き場所をクラウドに移しても、マスタの整備、バージョンアップ時の検証、現場からの問い合わせ対応は残ります。この分担を決めないまま導入を進めると、稼働してから止まります。
どこまでをお客様が持ち、どこからを当社が引き受けるかを決めるところから入ります。運用の範囲についてはMES運用・保守サービスをご覧ください。
ダッソー・システムズのMESとしての位置づけ
「MES ダッソー」で調べていらした方向けに、製品群の中での Apriso の位置を整理します。
ダッソー・システムズは、設計の CATIA、データ管理の ENOVIA、解析の SIMULIA といったブランドを持っています。そのうち「製造」を担当するブランドが DELMIA で、DELMIA の中で実際に工場のラインを動かす実行系を受け持つのが Apriso です。
設計から製造までを同じベンダーの製品でつなげられる。これが Apriso を選ぶ理由の一つになります。ただし、同じベンダーだから自動でつながる、というものではありません。
- 図面や部品表の変更を、どのタイミングで製造指示に反映するか
- 製造の実績を、どこまで設計側に返すか
この二つは要件定義で必ず論点になります。つなぐ範囲を欲張ると、その分だけ検証とテストが増えます。逆に絞りすぎると、二重入力が現場に残ります。どこで線を引くかは工場ごとに変わります。
導入はどう進むのか
「Apriso 導入」で来られた方向けに、進め方の要点だけ先にお伝えします。
最初に決めるのは、範囲と順番
全工程を一度に置き換える進め方は、ほとんどの場合うまくいきません。どのラインから始めるか、どの業務までを一次リリースに含めるかを先に決めます。ここが曖昧なまま設計に入ると、要件が膨らみ続けます。
現場に入って現物を見る工程は省けません
紙の帳票、ホワイトボード、担当者の頭の中にある判断。これらを拾い切らないまま作ると、稼働後に「前のやり方のほうが早い」と言われます。
稼働はゴールではなく起点です
マスタの整備、現場教育、稼働直後の張り付き。ここに人を置けるかどうかで、定着するかどうかが決まります。
工程・体制・期間と費用を左右する要素については、DELMIA Apriso 導入の進め方で詳しく説明しています。
サオスができること
サオスは 2021年にダッソー・システムズとパートナー契約を結び、Apriso を中核とした MES の導入と運用を支援してきました。製品を納めて終わりではなく、現場で使われる状態になるまで一緒に進めることを前提にしています。
- 構想づくり — どの工程を対象にするか、既存システムとどう分担するかの整理から入ります
- 要件定義・構築 — 業務の標準化と製品の設定を並行して進めます
- 移行・立ち上げ — 現場の作業手順が変わる部分を洗い出し、教育と並行して切り替えます
- 運用・保守 — 障害対応、改修、バージョンアップ、現場からの問い合わせ対応
- 技術者の育成 — 実機を使った研修で、社内で扱える人を増やします
日本語・英語・中国語に対応しており、海外拠点を含む展開でも同じ体制で支援できます。品質と情報セキュリティについては ISO 9001 と ISO 27001 の認証を取得しています。
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