
MANUFACTURING AI
AIを入れる前に、
どの判断を任せるのかを決める。
製造業のAIは、技術よりも先に「どの工程の、どの判断を、どこまで機械に任せるのか」を決められるかで結果が分かれます。サオスは MES(製造実行システム)を現場に入れてきた会社です。どの作業のどんな値が、どんな粒度でどこに溜まっているのかを知っている状態からAIを設計できることが、私たちの立ち位置です。
製造業のAIが止まる場所は、だいたい決まっている
AIそのものが難しくて止まることは、いまはあまりありません。実際に止まるのは、その手前と、その先です。
データはあるが、何の値なのかが分からない
設備から出てくる信号や検査記録は残っていても、それが「どの製品の、どの工程の、どの時点の値なのか」がひも付いていないことが多くあります。AIに学習させる前に、まずこの紐付けを作る作業が要ります。ここはAIの問題ではなく、製造の業務設計の問題です。
PoC はうまくいったのに、その先へ進まない
過去データで精度が出ても、実際のラインに載せるには、いつ推論するのか、結果を誰がどう受け取るのか、外れたときに何が起きるのかを決めなければなりません。この「載せる」部分の設計が抜けていると、PoCの結果は報告書で終わります。
現場が使わない
作業者の手元の画面が増えるだけの仕組みは、まず使われません。既存の作業の流れの中に結果が現れるか、あるいは人が見ないところで制御に返るか。どちらかでなければ定着しません。
なぜMESの会社がAIをやるのか

MESを入れるという仕事は、現場の作業を一つずつ分解して、どの時点で何を記録するかを決めていく作業です。その設計をしてきた会社は、AIに何を食わせられて何が食わせられないのかを、データを見る前から見当がつきます。実際、AIの案件でいちばん時間がかかるのはモデルづくりではなく、この見当をつけるところです。
すでにMESをお使いであれば、蓄積されたデータの構造をそのまま出発点にできます。MESをお持ちでない場合も、まず何をどう記録するかを決めるところからご一緒できます。
三つの入り方
ご相談の内容によって、入り方が変わります。どれか一つを選んでいただく必要はなく、導入支援から始めて受託開発に移る形が最も多いです。
AI導入支援
どの工程の、どの判断にAIを使うのかを決めます。現状のデータの棚卸し、テーマの選定と優先順位付け、実現性の見極め、社内の合意形成まで。人材育成もここに含みます。
AIでやりたいことはあるが、どこから手を付けるか決まっていないAI受託開発
データの整備、モデルの設計と学習、現場システムへの組み込み、稼働後の精度監視と再学習まで。エッジで動かす構成や、制御に返す構成も含みます。
テーマは決まっていて、動くものを作って現場に載せたいweaveAI
AIとの対話から業務画面・文書・テストを組み立てる、サオスが開発しているプラットフォームです。作りながら仕様を決めていく進め方ができます。
要件が固まりきらないまま、まず形にして関係者と見ながら決めたいweaveAI については専用サイト weaveai.jp で詳しくご紹介しています。
よく相談されるテーマ
- 品質の予測 — 検査で分かる前に、工程の値から結果を推定する。全数を破壊検査できない加工でとくに効きます
- 外観検査の自動化 — 人の目でやっている判定を画像で置き換える。ただし、良品と不良品の境目を人が言葉にできているかが成否を分けます
- 設備の異常の早期検知 — 壊れる前の兆候を拾う。過去の故障データが少なくても、正常からの逸脱を見る方法が取れます
- 需給と生産計画の調整 — 需要予測と、その結果をどう計画に反映するかまで
- 文書とナレッジの整理 — 作業標準書の更新支援、不良報告の要約、過去トラブルの検索。生成AIが最も早く効く領域です

進め方
- 現状把握とテーマの選定いま何が記録されていて、何が記録されていないのかを見ます。そのうえで、効果が見えやすく、かつ失敗しても被害が小さいテーマを最初に選びます。いきなり基幹の判断を置き換えにいかないのが定石です。
- 小さく試す過去データで、狙った精度が出る見込みがあるかを確かめます。ここで出す答えは「できる/できない」ではなく、「この条件なら使える/この条件では足りない」という形になります。
- 現場に載せるいつ推論し、誰がどこで結果を受け取り、外れたときに何が起きるのかを決めて実装します。ここがPoCと本番を分ける工程です。
- 運用して直し続ける設備も材料も人も変わるので、精度は必ず落ちていきます。落ちたことに気づける仕組みと、再学習の段取りをセットで用意します。
ロックウェル・オートメーションとのAI仮想センサー

溶接の品質は、本来は破壊検査でしか確かめられません。だから全数は見られない。そこを、溶接時の電流・電圧・抵抗の変化から推定して補おうという試みです。エッジ側で推論し、PLCのタグ値を書き換えて次の打点の条件に反映する、いわゆるクローズドループの構成を取っています。
この取り組みは現時点で公開データセットを用いた検証段階です。実際のラインに適用するには、各社の設備と材料で取得したデータによる再学習と検証が必要で、多打点ラインへの展開も未検証です。展示でもこの前提をそのままお伝えしています。
詳しい仕組みと、この取り組みから他の工程に持っていける考え方は AI仮想センサーのページにまとめました。
よくある質問
- データが十分に溜まっていなくても始められますか。
- 始められますが、最初にやることが変わります。データが足りない場合は、モデルを作る前に「何を、どの粒度で記録するか」を決めて記録を始めるところからになります。この段取りはMES導入の設計とほぼ同じ作業なので、私たちが最も慣れている部分でもあります。
- PoCで終わってしまった経験があります。何が違いますか。
- PoCの段階で「本番に載せるとしたら、いつ推論して、誰が結果を受け取り、外れたら何が起きるのか」まで決めているかどうかです。この答えが出ないテーマは、精度が出ても本番には行きません。私たちはテーマを選ぶ段階でここを確認します。
- MESを導入していない会社でも相談できますか。
- できます。MESがあるほうがデータの出発点は整っていますが、必須ではありません。むしろ、AIをきっかけに「何を記録すべきか」が見えて、その後のシステム整備につながることもあります。
- 社外にデータを出さずに進められますか。
- 可能です。お客様の環境内で学習・推論する構成や、エッジ機器の上で完結させる構成を取れます。サオスは情報セキュリティマネジメントの ISO 27001 を取得しており、お預かりするデータの取り扱いは認証に沿った運用を行っています。
- 生成AIと、従来の機械学習はどう使い分けますか。
- 数値を予測したり、良否を判定したりする用途は従来の機械学習が向いています。文書や会話、ばらばらの書式の記録を扱う用途は生成AIが向いています。実際の案件では両方を組み合わせることが多く、「生成AIでやる」と決めてから課題を探すと、たいてい合いません。
- 結果の理由が分からないと、現場が納得しません。
- その通りだと考えています。予測値だけを出すのではなく、どの要因がその判断を押し上げたのかを併せて示す設計にしています。理由が見えると、現場の人が「それは違う」と指摘できるようになり、そこからモデルが直っていきます。
- 費用はどれくらいかかりますか。
- テーマとデータの状態で大きく変わるため、条件が決まる前の金額はお出ししていません。費用を左右するのは、データ整備にどれだけ手が要るか、既存システムへどこまで組み込むか、稼働後の精度監視をどこまで持つか、の三つです。
- 自社の技術者でできるようになりますか。
- なります。ただし稼働してから育て始めると、その間の対応が止まります。開発の途中から社内の方に入っていただき、設計の意図ごと引き継ぐのが結局は早道です。役割別のAI人材育成プログラムもご用意しています。
ご相談について
「AIで何かできないか」という段階からご相談いただけます。むしろ、テーマが固まる前のほうがお役に立てることが多いです。現状のデータと業務を伺ったうえで、最初に手を付けるべきところをご提案します。




